生命科学的視点
1Something Great
2021年にお亡くなりになった、生命科学の権威であり筑波大学名誉教授であった村上和雄先生のお話を紹介したいと思います。
サムシング・グレート ~ 偉大なる何者か ~
・私たちは一つの受精卵です。つまり、たった一つの細胞だったのです。このたった一つの細胞
の中に全てがあり自ら複雑な人間の身体を作っていったのです。
・一個の受精卵が母親の胎内で細胞分裂を繰り返し、十月十日(とつきとおか)で生まれる時には
約3兆個に、成人になると約37兆個に
・その細胞の一つひとつには核があり、核の中の染色体にDNAという物質が収納。
DNA=遺伝子の正体 30億の情報が書き込まれている。
身体中の全細胞の遺伝子に一人の人間の生命活動に必要なすべての情報が書き込まれている
・生命科学の現場で研究を続ければ続けるほど、生命の本質は人間の理性や知性だけでは説明で
きない
・この宇宙に1個の生命細胞が生まれる確率は、1億円の宝くじが100万回連続で当たるくら
いの、とんでもなく希少な確率
・私たちの存在はとんでもなく「有り難い」もの
・私たちの身体には、約37兆個の細胞(最近の研究で明らかになった数字)が存在し、お互いに助け合いながら、喧嘩することなく調和を保って生きている=奇跡
・我われは大自然の不思議な力で生かされているという側面を決して忘れてはならない・髪の毛の細胞は髪の毛にしかならないし、心臓の細胞は心臓にしかなりません。
・遺伝子にはスイッチがあって、髪の毛の細胞にある遺伝子は髪の毛になるスイッチがONになっていて、それ以外のスイッチはすべてOFFになっている。だから髪の毛の細胞は髪の毛にはなるが、心臓にはならない
・各細胞の遺伝子には、すべてのスイッチが付いていて、どれがONになっているかによって、その細胞の役割が決まる
・「命の仕組みは驚くほど不思議なことばかりです。これだけ精巧な生命の設計図が偶然にできあがるということはありえません。ではこれだけの設計図を、いったい誰が、どのようにして書いたのか?この人間わざをはるかに超える設計図を創ったのは何者なのか?」村上教授は、その設計者のことを「サムシング・グレート(偉大なる何者か)」と呼びました。すべての生き物 の存在の元になるもの、それをサムシング・グレートと定義
*サムシング・グレートは宗教的な神や仏と同じようなもの
・科学だけではなく哲学も、音楽、芸術、 文学など、全てがサムシング・グレートからきている
・どんな人でも遺伝情報は99.5%は皆同じです。どんな人にも同じように無限の可能性がある。
2西洋医学の限界(村上先生の研究)
・アメリカは、西洋医学のメッカですが、すでに西洋医学だけを信じている人は5割を切っている
・高血圧や癌や糖尿病も西洋医学だけでは治らない
・ある程度抑えることはできるのですが、原因が解らないことが多すぎる=西洋医学の限界
対処法的な治療しかできない
・科学でわかっていることが5%未満
・統合医療や自然療法、波動療法も出てきている
中でも最も人気が あるのが「祈り」という療法なんです。
・「祈りが治療効果を高める」ということが、医学雑誌に載り始めています。
・「祈り」という、一見医学のフィールドとは全く関係のない、そういう世界に科学のメスが入ろ
うとしているのは事実です。
・瞑想とか魂と遺伝子とか、そういう分野を研究する時代に入っているわけですね。
・「お笑い」ではなく、もっと深い心、「祈り」とか「魂」という世界と遺伝子がどのように関係
するのかを、仏教家や心のはたらきの専門家と組みながら研究しようとしていた
・ヨガの瞑想やキリスト教の祈りなどもOK。要はそういうもののはたらきで遺伝子のスイッチが
ONになることに、どのような因果関係があるのかを立証しようとしていた。
映画
「祈り サムシンンググレートとの対話」 白鳥哲監督
https://inori2012.com/sakuhin/
- 『神(サムシング・グレート)と見えない世界』 矢作直樹共著 祥伝社新書 2013年
脳科学的視点(神経解剖学)
1右脳だけの世界とは?
ジル・ボルト・テイラー
2008年TED初のバズったプレゼンだった。
1996年の朝、脳出血により左脳の機能が一つずつ停止していった。
午後には歩くことも、話す事も書くことも、自分の人生も思い出せなかった
女性の身体をした乳児
当時彼女は神経科学者としてとても優秀、成功し実験研究を日々行なっていた
科学者の視点から自らの脳が機能停止するのを観察した すごい経験
左脳のお喋りが止まり、5週間しんと静まり返った脳の真ん中にいた
畏怖の念を覚えるような「今この瞬間」という感覚に足を踏み入れた。
→そこはとても美しい場所
言語の感覚も「個」の意識もなくなる、
自分の身体がどこから始まりどこで終わっているのか、境界を識別できない
自分が宇宙と同じくらい大きなエネルギーの「球」だと感じた
安らかな多幸感 涅槃(ニルバーナ)天国のような世界
左脳が機能停止する中、必死に助けの電話をかけ、救急車に乗ったとき魂が降伏するのを感じた
人生が終わるのだと思った
その日の午後目を覚まし、自分がまだ生きていることがわかり、ショックを受けた
私はまだ生きていて、涅槃を見つけた。涅槃を見つけてまだ生きているのだから、生きている
人は誰でも涅槃を見つけることができるはず。
左脳から右脳へあえて一歩踏み出すと、美しくて平和的で思いやりのある、愛情深い人々で
いっぱいの世界を思い浮かべ、この経験は私たちにとってとてつもない贈り物であると気づき、回復しようと決めた。
8年かけて回復、あらゆる感情(ネガティブなものも)を取り戻した
TED
前日ハーサルでスタッフのみんなの感動をよび、当日はスケジュールを変えて無名だったジルの講演がとりを飾ることになった
ジルのメッセージ
「私たちは誰?」
私たちは器用に動く手と二つの認知する心(右脳と左脳)を備えた宇宙の生命力。私たちはこの世界の中で、自分が何者でどんなふうでありたいかを1瞬ごとに選びとる力を持っています。今ここで私は右脳の意識に踏み込むことができます。そこでの私は宇宙の生命力です。私は私を作っている五十兆個の美しい天才的な細胞の生命力であり、全てのものと一つです。
あるいは、左脳の意識に入ることも選べます。そこで、私は一人の個人、肉体をもち、宇宙の流れから離れ、あなたたちとも離れた存在です。私は理性的な神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー博士でもあるのです。
私の中には”私たち”がいます。どれを選びますか?そしていつ選びますか?
右半球の深いうちなる平和の回路を動かす。その時間が長ければ長いほど、より多くの安らぎが世界に投影され、地球がより平和になると信じています」
世界の問題、国内の問題に対して、私たちがその現場に行って誰かに手を差し伸べることはとても難しい場合があります。今この瞬間に右脳的になり、穏やかな心もちで全てに感謝できる自分であることでそれは世界に投影され、世界の平和を進めることにもなるはず
私たちは繋がって一つなのです
2左脳の特徴と役割
左脳は言語や計算力、論理的思考を司る脳です。
賢く、規則正しく、時間を守り、細部にこだわり几帳面で計画的、分析的
過去の困難や感情や苦痛を覚えていて、分析的に未来を案じる
現代社会に生きる私達にとってはとても大切な脳であるが、今にいない脳
現代社会は左脳ばかり使う
普段の現実世界
左脳によって予測された世界を見ている
脳内に構築された「世界モデル」左脳の創作物
脳の中のフィルター
脳幹網様体賦活系を
意識したものだけがあることになる。そこに存在していて見えているはず、聞こえているはずのものでも意識を向けていなければそれに気づけない。つまり、その人の世界では存在しないものとなる。
夢中になっていると大きな声をかけられても気づかない。
左脳の復活で戻ってきた機能
(脳卒中以前の生活を支配していた機能)
・目的に向かう
・几帳面で計画的
・制御、支配したくなる人格
・時間管理ができる
・批判的
・善悪の判断
・過去に起こったことへのネガティブな感情
・罪悪感、恥ずかしさ、恨み、復讐心
夢中になっていると大きな声をかけられても気づかない。
*大切*
私たちは考えることができる「感じる生き物」
自分が感じているものから目を背けようとすると、最も根本的なレベルで心の健康を損なう
3 私の中の私たち
4つのキャラ
大脳皮質の左右の思考中枢 思考する脳✖︎2
大脳辺縁系の左右の情動中枢 感じる脳✖︎2
=4つの脳
↓
キャラ1=考える左脳
キャラ2=感じる左脳
キャラ3=考える右脳
キャラ4感=感じる右脳
人間を人間たらしめた高次の大脳皮質
大脳辺縁系の深部組織→他の哺乳類と同じ
人間の脳を唯一無二なものにしているのは二つの「考える脳」
人間の脳は進化の途中
考えるの右脳と感じる右脳
考える左脳と感じる左脳
この2つを統合中